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ヒイラギの発光

スズキ目ヒイラギ科ヒイラギ属(Leiognathus nuchalis)
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 海面近くを群で泳ぐイワシやサンマ等は背ビレ側が青黒く、お腹側は白っぽくなっています。海上の鳥たちからは海にとけこみ目立たなくなり、下から狙う捕食者たちには明るい水面にあわせて影を消しているのです。これは一般に counter shading (体表の光のあたる部分が暗い色に、陰になる部分が明るい色になっている)という適応として知られています。こうした配色では魚はどの方向からでも見えにくいのです。しかし魚の腹部がどんなにまっ白であったとしても、明るい水面を背に下から覗かれれば黒く見えるに違いありません。なぜなら見る者と光源との間にあるものが光源より明るく見えることはないからです。例えばまっ白な雪も灰色の空に見上げると灰色より濃く見えることがあります。経験がある人もいるのではないでしょうか。この雪片と同じことが、魚にもあてはまるのです。
 この問題に画期的な解決法を持つ魚の中にヒイラギというのがいます。ヒイラギには、発光腺があり発光細菌 Photobacterium Leiognathi が共生しています。またその背後には特定の方向に光を送る反射板まで備わっています。発光腺は体の奥深くにありますが、光は内臓を通して下方を照らします。ヒイラギは小さな魚でその組織はいくぶん透明なので光は外に漏れて腹部の表面のあたりをぼーっと照らし出すのです。上方から少しでも光が差していれば、下にいる捕食者には頭上の光を横切るヒイラギの影が見えますが、その光にあわせて腹部から光を発して影を消すことができれば見つかる可能性は低くなります。実験をしてみると、上方からの薄明かり以外に照明のない屋内の水槽内でヒイラギは光を放ちました。それは自分よりも低い位置にある視線にたいして自分の影を消すためなのです。

 ちなみに名前の由来は植物の柊(ヒイラギ)です。柊の葉のように扁平で棘も似ていることから名が付きました。魚で木偏の付く名前はヒイラギだけです。また薄い体型なのに硬くて強い骨を持っていることからネコ殺しとかネコまたぎという別称も多いそうです。英語ではスリップマウスと言うのですが、これは口を伸ばしエサを吸い込むようにして食うことから来ています。学名のレイオグナータスも滑らかなアゴという意味です。
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