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「進化はどこまでわかったか」

進化はどこまでわかったか


 もはや乱読という感じだが、図書館で関連のあるものはかたっぱしから行こうと思ってます。

 よくコンパクトにまとまった本ですが、ちらほら表現に誤解を招きそうなものもあり、生徒には勧めないかなぁ。

p43 不思議なのは、あまり長くないDNAが染色体の中で動き回る現象である。<中略>その後、原核生物にも真核生物にもDNAの上を移動して歩く因子が発見されている。生理的な存在理由ははっきりせず、むしろ遺伝子の情報を僅かに変化させて、進化を加速するものではないかと思われている。

 こういう比喩は初学者に誤解を招く。進化を加速する「ために」何らかの機構が存在するということはない。ある機構が結果として進化を加速するように働き、加速することが他のものより有利であれば、その機構は残るということはありうる。

p54 結局、現在の分子の中に観測される分子進化はほとんど全部、中立または中立に近い変異である。中立ということは生物の形や性質に影響しないことであるから、そのような変化を進化と呼ぶことは誤解を招きやすい。ダーウィン以来の巨視的な進化で扱われてきた生物の形や性質の変化は、分子進化とは直接には関係がない。分子進化として観察されるような置換が集積して、ダーウィンの言う自然淘汰を受けて、巨視的な進化が起こるのではない。巨視的な変化を起こすのは、中立ではなく、少しでも有利な変化である。

 うーむ。大進化と小進化の問題は1冊読まなければと思っています。”ほぼ中立説”の本も読まねば。

p55 軸対称と左右対称 
 生物の形には大きく分けて軸対称と左右対称がある。
 植物は軸対称のことが多い。そして軸はほとんどの場合重力の方向に一致する。<略>
 植物の生活には太陽は重要であり、太陽に面する側と反対側では、生育をはじめいろいろ違う。年輪も明らかに厚さが異なる。それなのに動物の場合のように二軸性の形にならないのは、太陽の影響は思ったより小さいのかも知れない。あるいは植物の形は原理的には二次元なので二軸性にはなれないのかもしれない。
 度物は腔腸動物では軸対称であるが、それより先のものはほとんど左右対称である。棘皮度物のウニやヒトデは軸対称のようであるが、厳密には左右対称であるらしい。<略>
 動物は重力の影響の下で運動しなければならないので、重力の方向と進行方向と二本の軸を持つことになり、結論が左右対称ということになるらしい。
 軸対称には二回、三回、四回の対称軸もあるが、五回の対称軸が比較的に多いのは奇妙である。<略>
 脊椎度物の四肢には五本の指があるが、これは棘皮動物のウニやヒトデで見かけで五回対称軸を持つものが多いことと関係があるだろうか。

 これは面白い議論だ。ダーシー・トムソンの「生物のかたち」とテーマは同じですね。ただ、指の本数は関係なかろう。


p58 長い時間の間には、塩基の置換が二度以上起こる可能性がある。っして置換によって再び同じ塩基になる可能性もあるので、ある程度以上長い時間では分子時計は遅れるように見える。

 なるほど!納得。分子進化の本も読むリストに入ってるんだけど、難しそうだしなぁ。しばらく先になりそう・・・。

p74 ダーウィンの著書の題が『種の起源』であったことが示すように、進化は新しい種のでき方の問題でもある。種の区分には互いに交配しないものという定義が使われるが、その分子的な機構は複雑である。雄と雌が交尾しない、精子が卵子に近づけない、精子が卵子に進入できない、受精卵が育たない、などいろいろの段階で障害があり得る。このどれかが起これば新しい種が生まれるので、どうなったら種の分離が起こるかということは一言では言いにくい。多くの生物種でゲノムの解析が進めば、この点に関して新しい手がかりができるかも知れない。

 種の区分つまり種の定義は様々で、ここに挙げられているものだけではない。ただ、議論としては面白いし納得した。たしかに不妊と言っても様々な機構がある。

p113 社会性昆虫
 個体が利他的な行動をすることは不思議に思われて、いろいろな理由が考えられている。生物は自分と同じ遺伝子を保存しようと行動していると説明されることが多い。

 これも誤読しやすい表現だなぁ・・・。読む人が困るじゃないか。
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 進化生物学を学ぶアマチュアです。本業は数学教師です。ほとんど自己満足の日記と化してますが、コメントどんどん下さい。質問・議論・アドバイスも歓迎です。

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