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「生物学のすすめ」

 大御所J・M・スミスの書いた入門書、名著。
 順を追って説明してあり、とても分かりやすい。読んだ人の多くは生物学を好きになるのではないかと思う。この方面に興味のある高校生に読んで欲しい。

生物学のすすめ (科学選書)

ノート

生き物の特徴
(1)代謝
(2)機能

生き物の見方
(1)遺伝の仕組みを持つことで生存のための適応を進化によって獲得する個体集団(究極要因)
(2)エネルギーが通過することによって保たれる複雑な構造(至近要因)

遺伝学の発展
(1)ワイスマンによる生殖質と体質の独立の概念:ワイスマンは、遺伝で重要なのは物質やエネルギーの流れではなく、情報の流れであると考えた最初の人。
(2)メンデルの再発見に基づく遺伝における原子説の確立:大体、生物学者は着想の飛躍を信用しないところがありましたが、後には遺伝学者はメンデル流を見習った。
(3)モーガンらのショウジョウバエの研究に基づく染色体理論:2nの染色体を持っていることが、メンデルの想定したのとそっくりの性質だったが、染色体自身がメンデル因子そのものではあり得なかった。数が少なすぎるからだ。しかし染色体が遺伝子の運び手である可能性があった。
(4)ワトソンとクリックによるDNAの構造決定に始まる分子遺伝学の成長:ワトソン=クリック構造はDNAがどうして情報を含み得るか、まだどうして複製可能かを説明している。

遺伝機構の特徴
(1)デジタルな現象である。
(2)表現型と遺伝子型とが区別されている。
(3)量子レベルでのできごとを巨視的なできごとへと増幅する。

・生物個体を中心に見るか遺伝子中心に見るかは、数学で代数と幾何はどちらが正しいかというのと同じ。

・「裸」の遺伝子たち=細菌よりもなお単純な遺伝的存在(基本構造としてある長さの核酸を持ち、生きている細胞のなかでだけ増殖できる。)
(1)ウイルス:細胞外ではタンパク質の被膜にDNA(ときにはRNA)が包まれた形をしている。細胞外では活性はないが伝染力はある。生きている細胞に核酸が入ると、この核酸は細胞の代謝の機構を乗っ取り、ウイルスのDNAのコピーが作られ、それに含まれる遺伝情報によってウイルスのタンパク被膜が合成される。普通は宿主の細胞は殺されてしまい、たくさんの新しいウイルスが外へ出る。
(2)プラスミド:細胞の外で生きられるようなタンパク被膜は作らないが、最近の細胞同士が接合したようなときに隣へ移ることができる。プラスミドも自身の増殖を細胞内で行うが、自分の入っている細胞を殺すことはせず、それどころか宿主の細胞の役にたつタンパク質の情報を持っていて、薬剤への抵抗性を与えたり、特定の化学反応を可能にしてやったりすることが多い。
(3)トランスポゾン:染色体又はプラスミドの一部としてしか存在できないDNA。普通の遺伝子と異なり、染色体の中で移動できる。その際はコピーを作り、それをもとの場所に残して新しい場所へ移るので、染色体よりも速く増殖する。原核生物で見つかっているトランスポゾンは通常自身の増殖に必要な1つ又はそれ以上のタンパク質の情報を持っている。同じような者が真核生物でも発見されているが、動き回る以外に何をしているかは分かっていない。

動物の行動
強化的:もしある動作Xに続いてもう1つの刺激、たとえばエサが現れ、それが強化的ならば動物はその後動作Xを行う傾向が強まる。 ⇔忌避的

・エソロジストの興味は、野生動物の研究・種間の差異・行動の適応的意義におかれた。「生得的解発機構」「固定的動作パターン」

生命の起源・・・有機化合物の起原

原始地球の大気には「炭酸ガス」が含まれていなかった。(ホールデン・オパーリン)

ホールデン「熱くて薄いスープ」
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theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

ハヌマンラングールの子殺し

霊長目オナガザル科ハヌマンラングール属(Semnopithecus entellus)
ハヌマン・ラングール

 インド北部に生息するハヌマン・ラングールはハーレムを形成し、ボスが雌のグループに対する性的接触を独占しますが、もっと強い雄が現れてハーレムを力ずくで乗っ取り、ボスの交代が起こると、新しい雄は離乳前の子どもを殺そうとします。子ザルを殺された母親はまもなく授乳が止まり、発情を再開します。雌はわが子を殺した相手の求愛を受け入れ、その雄は雌の次の子どもの父親となります。雄の繁殖にとって潜在的な資源である母ザルは、子ザルの死によって実質的な資源に変わるのです。従って、子殺しは雄にとっては適応的なのです。反対に、雌にとっては仔を殺されるのは明らかに適応的ではありません。雌たちはしばしば姉妹や近親どうしであるので、狙われている子ザルが生き延びることに関して、遺伝的利益を共有しています。そのため、群れの雌同士が協力して子を隠したり守ったりすることがあります。しかし残念ながら雄は雌よりも大きく、腕力でもはるかに勝っているため、たいていは子殺しに成功してしまいます。

 この行動は発見された当初はその行動のあまりの突飛さ、残虐さにより、そして当時考えられていた「種の利益」にそぐわず、ほとんど認められませんでした。しかし、その後アフリカのライオンにおいても同様の行動が発見されました。タンザニアのライオンも、単独の雄が複数の雌を抱えて繁殖し、雄が入れ替わった際に新しい雄は群れの中の乳児を殺すことがあります。この発見によって、ハヌマンラングールの例も広く認められるようになったのです。その後さらに、複数のサル類やジリス、イルカなどでも同様の行動が確認されています。

 なお、ハヌマンラングールはインドから東の地域にも分布しますが、その地域では雄は単独でハーレムを維持するのではなく、雌の群れに複数の雄がいます。その地域では上記のような子殺しの行動は見られないそうです。このような子殺しの行動は、単独の雄と複数の雌でハーレムを形成するタイプの動物特有のものと考えられています。

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

コウテイペンギンの突き落とし

ペンギン目ペンギン科(Aptenodytes forsteri)
pengi.jpg

 南極のコウテイペンギンたちは、アザラシに食べられる危険があるため水際に立って飛び込むのをためらっていることがあります。彼らのうち一羽が飛び込みさえすれば、残りのペンギンたちはアザラシがいるかどうかを知ることができますが、当然誰も自分がモルモットになりたくはないので、全員がただひたすら待っているのです。そしてときどき互いに押し合って、誰かを水中に突き落とそうとさえするのです。

動物行動学者・日高敏隆さんの話より

 日本人の社会は、ペンギンの集団に似ている。氷山のヘリに立って海に飛び込もうとするペンギンは、実は海の中にシャチがいるのではないかと怖がっている。だから自分が最初に飛び込むことはだれもしたくない。
 そこで大勢のペンギンが氷のヘリで押し合いへし合いをし、誰かを無理やり海の中へ突き落とします。そして、そのペンギンがシャチに襲われないのを確認して、全員が海へ飛び込みます。
 このペンギンの集団、まことに現代の日本の社会とそっくり。そこではみんな責任のなすり合いで、運の悪いものが海の中に突き落とされ責任をとらされる。
『赤信号 みんなで渡れば 怖くない』
こんな標語がはやるのも日本ならでは。


theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「雄と雌の数をめぐる不思議」

雄と雌の数をめぐる不思議 (中公文庫)雄と雌の数をめぐる不思議 (中公文庫)
(2001/11)
長谷川 真理子

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ノート

雌雄同体か雌雄異体かは何で決まるか
(1)相手を見つけるコストと雌雄両方の生殖器官を備えるコストの関係
(2)雌雄異体は、潜在的に、自分の繁殖相手となる個体が、個体群全体の半分しかいないことになるから、固着性・移動性が低い・非常な低密度の生物は雌雄同体になる。
(3)感覚器官の発達した移動性の高い動物では、相手を見つけるコストは大きくないが、両性の生殖器官を備えるには相当の投資が必要となる。体のつくりが簡単なものはまだよいが、鳥類・哺乳類くらいになると困難である。

性決定メカニズム
(1)染色体による性決定
(2)環境要因による性決定
  1.受精卵がどのような場所で孵化することになるかがランダム。
  2.その場所の環境要因にかなりの変動がある。
  3.その環境要因によって孵化後の個体の成長が影響を受ける。
  4.雄の子と雌の子とでその影響の受け方が違う。
(3)半倍数体
  膜翅類のほとんどと同翅類の数種

大進化:生物の体制に大掛かりな変化が生じて、新しいタイプの生物が生じること

ブラジルのマット・グロッソ州に住むインディオのシャバンテ族ではO型が100%

創設者効果:隔離された小集団における偶然の要素による遺伝子頻度の変化

淘汰要因=淘汰圧:自然淘汰を引き起こす鍵、例えば「餌が高い所にしかない状況」「深い水の中に潜んで首を水面に出しておかねばならない」

オオシモフリエダシャクの工業暗化

群淘汰の誤り:進化が種や集団の利益のために起こるとする考え

フィッシャーの性比理論
 →頻度依存選択→ESS
 Cm・M=Cf・F  M、Fは雌雄の数、Cm、Cf はコスト

局所的配偶競争:配偶が局所的に限定され、兄弟姉妹間で配偶者をめぐる競争が起こるような状況、雄が少なく雌が多い性比が進化する。

重複寄生:1つの芋虫に2匹の雌蜂が卵を産む

局所的資源競争:母親が一方の性の子と資源をめぐって競争するような状況
 競争の少ない方の性の子を多く産むようになるだろう。クラークのギャラゴ研究

鳥のヘルパー:子が性的成熟に達しても親元を去らず、自らは繁殖をしないで親の繁殖を手伝う種がある。

潜在的繁殖速度:1回の繁殖から次の繁殖にかかるまでの潜在的時間(=配偶に要する時間+子育てに要する時間)の逆数

theme : 勉強日記
genre : 学問・文化・芸術

「進化論の挑戦」

進化論の挑戦 (角川選書)進化論の挑戦 (角川選書)
(1997/11)
佐倉 統

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 この本も飽きてしまった。純粋な進化理論だけじゃなくて、あっちゃこっちゃに話を広げすぎてるから今の自分には興味持てないんだなぁ。無理して読もうとしないであっさり止めてしまおう。じゃないとプレッシャーにもなるし疲れちゃうわ。別の言い方をするときちんと選んでから読み始めよう。

 佐倉さんの本には、ドーキンスが遺伝子中心の見方をするべきだと主張したって記述が多いけど、ハミルトンやウィリアムズなどがもっと前から発表してて、ドーキンスは一般向けに分かりやすい本にしてくれただけのはずですよね。ハミルトンやウィリアムズの論文読んでないのかなぁ。もちろん私は読んでないけど。学際とか学環を追求してる人だからそこまで深くは文献に当たらなくてもいいと思ってるのかなぁ。

theme : 本の紹介
genre : 学問・文化・芸術

「進化論という考え方」

進化論という考えかた (講談社現代新書)進化論という考えかた (講談社現代新書)
(2002/03)
佐倉 統

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 図書館でなんとなく借りたんだけど今イチだった。前半の進化論の歴史みたいな部分は読みやすかったけど、後半は何が言いたいのかよく分からず3章から速読、4章は投げ出してしまった。Amazonでも言ってた人がいたが、まさにその通り。「わかる人には当然のことばかり書いてあり、わからない人にはピンとこないことが書いてある本」
 この人はミニ立花隆というイメージ。立花隆の本は5~6冊かなぁ、しか読んでないけど、よく勉強しているとは思うんだけど、結局何が言いたいのか分からなかったり、とんでもないことを言っていたりする印象がある。プロの勉強屋、または情報処理の達人というのは評価するけど、何かの専門家っていうのは感じられないし、何かを教わろうという気もしない。話があっちゃこっちゃ飛ぶし・・・、まぁ、そんな感じ。実はWEBで東大のこの人の授業があって、それを半分くらい見たんだけど、授業はまぁ(初心者には)面白いんだけどなぁ。
 普通に進化論に興味のある人は読む必要なし。

theme : 勉強
genre : 学問・文化・芸術

「数学でみた生命と進化」

数学でみた生命と進化―生き残りゲームの勝者たち (ブルーバックス (B-1111))数学でみた生命と進化―生き残りゲームの勝者たち (ブルーバックス (B-1111))
(1996/03)
カール・シグムンド

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 前書きにもあるとおり、生物の本と言うより数学の本。但し、数式は出てこない。Ⅰ章は序章で、Ⅱ章はライフゲームの話、Ⅲ章から先は生命と進化を数学的に説明している。途中がよくわからなくても結果が書いてあるので、数学的思考に慣れていなくても内容は理解できると思う。そういう意味ではあまり数理生物学または進化ゲーム理論の勉強にはならないかもしれない。
 使われている例はやはり、多くのものが既習でしたが、考え方の練習という意味ではちょうどよいレベルだった。

 いくつか新しく覚えたこと
ヴォルテラの法則:補食・獲物タイプの両者が互いに相手の個体数を決めるという前提があるなら、両者の成長率の低下(例えば漁などが原因で)は獲物タイプの増殖と補食タイプの減少を招く。 ex.殺虫剤
平衡推移論:素早い適応に最適なのは、全体のサイズが大きく、それがたくさんのデームに分かれていて、かつデーム間に限られた交流がある集団である。ライト『進化と集団遺伝』
修飾対立遺伝子:ある遺伝子座がヘテロであるときに、そのいずれでもなく別の遺伝子座の遺伝子が関与する場合、その第3の遺伝子を修飾対立遺伝子という。
Tangled Bank仮説(グラハム・ベル)飽和した環境では多様化を図ることが共存への鍵<空間的> ⇔ 赤の女王仮説<時間的>

 ちょっと感動したのはR・D・アレキサンダーの不妊の労働者階級についての考察

 不妊の労働者階級は、アリやハチやシロアリに存在することは十分知られていたが、脊椎動物に存在するということはまったく知られていなかった。アレキサンダーは、哺乳類でも、シロアリのように労働者階級を進化させることが、できるかもしれないと考えたのである。もし労働者階級が存在するとすれば、シロアリと同じように十分な食物が得られ、かつ捕食者から身を守ることができるような拡張可能な巣を作るのではないだろうか。巣の大きさの問題としては、樹皮の下は、よい場所ではない。しかし、地下に穴を掘って大きな塊茎を作ることが目的を完全に満たすことになる。もし、そうならば、気候は熱帯がよいだろう。土は(シャーロック・ホームズに与えられたヒントよりも簡単である!)重い粘土質がよいだろう。これは、フィールド観察によるものではなく、生態学におけるあくまでも机の上の考察である。しかしアレキサンダーは、後に彼の想像した動物が実際にアフリカにいることを知らされた。それはハダカネズミ(naked mole rat)という小さな齧歯類である。この動物は、ジェニファー・ジャーヴィス(Jarvis)によって研究された。
「理論に基づいて観察せよ」とは、よくいったもので、不妊の労働者階級がいる哺乳類の存在に関する仮説はすぐに確かめられることになった。ハダカネズミは、アレキサンダーの考えたすべての予測を満たしていた。その集団は子供を産む「女王」、何匹かのオス、そして数百匹のオスとメスの労働者階級により構成されていた。ただ1つの障害となる点は、地下を掘るハダカネズミは近親交配によって生まれたものであるが、この個体は血のつながりを持たない他の個体との交配の場面を見つけられなかったということである。しかし、この見つけることができない場面についても、説明することはできる。ハダカネズミは、シロアリやハチよりも、もっと寿命が長い(ライフサイクルが長い)ので、観察期間の間に、そのような場面に出会うことができなかったのだと考えられる。いずれにせよ、理論生物学上のこのすばらしい手柄は、天文学者の海王星の存在の予言と同じくらいに位置づけされるものと言って良いだろう。


 あと数学との関連を述べたところも面白かった。

 数学が、どんな時に価値を持つかを判定する方法はない。よい数学の大部分は「他の学問に応用された」というより「他の学問によって生まれた」ものだ。その意味では、数学は生物学に大きな借りがある。もちろん、物理学ほどではないが。セル状オートマトン、ゲーム理論、力学系、統計、確率論における最も興味深い発展の一部は、生物学的疑問に起因するものである。生物学的モデルは物理学的モデルよりも、近づきやすいことが多いし、一般にそれほど難しくない。その差はポップミュージックとクラシックミュージックのようなものであろう。生物数学は、まだ相対性理論や統計力学ほど壮麗な数学的交響曲を生み出していないが、覚えやすい小さな旋律を与えてくれる。

theme : 数学
genre : 学問・文化・芸術

「十二の小さな仲間たち―身近な虫の生活誌」

十二の小さな仲間たち―身近な虫の生活誌 (1978年)
 ミツバチのダンスで有名なフリッシュの書いた身近な虫の生活誌である。扱われているのは、イエバエ・カ・ノミ・ナンカインムシ・シラミ・イガ、いやな奴ばかりだ・・・、ゴキブリ・アブラムシ・アリ・シミ・クモ・ダニである。やはり古い本ということもあり、「種の保存」という説明が何度かあった。

 感心した話

ノミの跳躍器

 ノミの跳躍は筋肉だけによるのではない。跳躍器の内部の特定の場所に一種のタンパク質(レシリン)の帯が仕込まれている。この物質の弾性は最良のゴムをはるかにしのいでいる。ノミが跳ぼうとするとき、筋の働きでこの帯をひき伸ばし、跳躍にあたってはパチンコ式に張力がゆるめられる。これによって跳躍筋は強く助成され、跳躍の速さも、距離も明らかに増大する。


ゴキブリの命名

 ゴキブリは好かれることはけっしてない。そのことは、各国のそれぞれのお国ぶりによる呼名をみてもわかる。南ドイツの多くの地方では≪プロシアの≫というし、北ドイツでは≪シュワーベンの≫、西ドイツでは≪フランスの≫、東ドイツでは≪ロシアの≫と呼び、一方ロシアでは≪プロシアの≫と呼ぶ。あらゆる地方で、ゴキブリの出現・侵入の責を愛すべき隣人になすりつけているように思われる。


アブラムシの砂糖生産

 次に述べる事柄を理解するためには、まず糖分だけでは動物の体は形成されえないということを知る必要がある。タンパク質が必要なのである。タンパク質の化学成分であるアミノ酸は、篩管(ふるいかんと読む、今では師管と言っていますね)の液の中に含まれている。しかしそれは、糖分に比べればほんの小量である。したがって、彼らが急速に発育するのに必要なだけのタンパク質を得るためには、アブラムシは篩管の液を大量にとらねばならず、それを達成するためには胃袋には消費をはるかに上まわる大量の糖分を送り込まねばならないことになる。そこでアブラムシは、糖分の過剰分はそのまま排泄するのである。

 これ、すごいわ。感動した。アリとアブラムシのこの関係は知っていたけど、そもそも何故アブラムシはおしりから液を出すのかってのは、確かに疑問だよね。進化学の勉強初めてから何本指かに入る大発見!!でした。

 ダニは8本足でクモの仲間なのか、昔読んだかもしれないが忘れていた。というか意識してなかった。

theme : 本の紹介
genre : 学問・文化・芸術

「遺伝子の川」

遺伝子の川 (サイエンス・マスターズ)

「利己的な遺伝子」「延長された表現型」「盲目の時計職人」を要約した様な内容。
3冊読む時間のない人や入門者には向いている。

theme : 勉強日記
genre : 学問・文化・芸術

"Climbing Mount Improbable"

Climbing Mount ImprobableClimbing Mount Improbable
(2006/04/06)
Richard Dawkins

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 「不可能の山」というのは進化または自然淘汰のこと。
 この本は未翻訳のようです。

Ⅰ章
 "designoid"という概念の導入で、"accident"とも"design"とも区別しがたいものの事です。例えば、ナイフ代わりになる石の破片や人の顔の様に見える岩の影、これは偶然そうなったものです。それに対してナイフそのものも、Mt.Rushmoreの大統領の顔も人間が設計したものですね。では、"leafy sea dragon"や"pitcher plant"は、偶然そういう形になったのだろうか、それともなんらかの設計なのだろうか。これは、そのどちらでもなく第3のカテゴリー、つまり、"designoid"という概念で考えると良いとしている。
 また、コンピュータシミュレーションによる人為淘汰で自然淘汰の仕組みを説明している。
Ⅱ章
 クモの巣を例に自然淘汰の働き方を説明している。虫を捕らえるのに、ツバメやコウモリのような"flying swift solution"、カマキリやカメレオン、トカゲなどのような"sit and wait solution"、クモなどのような"net solution"があるとしている。そして様々に進化してきたクモの巣を紹介している。
Ⅲ章
 理論的な話で、「ダーウィン進化論は偶然起こる突然変異と偶然ではない自然淘汰に関する理論である。」「突然変異は偶然であるが、自然淘汰はそうではない。」と、何度も繰り返し強調して「(ダーウィンの)進化論は偶然の積み重ねである。」という誤解を解いている。
Ⅳ章
 サイズの生物学で、「体積(重さ)は長さの3乗に比例するが、表面積は2乗にしか比例しない。」ということから、様々な羽の進化を説明している。
Ⅴ章
 Ⅳ章と同じく自然淘汰の働き方の例として、眼の進化の説明。
Ⅵ章
 自然淘汰は生物に、進化の階段(原文では"Mount Improbable")を上がらせる圧力をかける。その圧力を淘汰圧というが、その強さと方向は様々であり、生物を様々に進化させる。どの生物も、それと少しだけ違った生物へと進化する可能性があり、どのように少しだけ違うかによってありとあらゆる種類の生物が進化し得る。それを、様々な貝の殻の進化を用いて説明している。この章は圧巻、感動した。原文タイトルは"The Museum of All Shells"
Ⅶ章
 生物の対称性の話で、「何故生物は左右対称か」という疑問から始まる。答えは「重力があるから上下には非対称、食道(口→胃→腸→○○)があるから前後には非対称、左右には非対称になる理由がない。」とあった。なるほど・・・。左右に対称でないことが生存上有利になる状況がなかったって事か。上下前後には非対称の方が確かに便利だ。
 そしてメインは対称な形の生物の話で、ヒトデや体細胞生物のうちで対称な形のもの、そしてムカデ、ムカデの場合は途中の体節はほとんど同じ形の連続になっている。これらの生物の特徴を「万華鏡的(kaleidoscopic)」だと言っている。そのような進化のお話。万華鏡って詩人だよなぁ、この人の文章詩的すぎ・・・。
Ⅷ章
 「(野生の)花は何のためにあるのか?」という質問から始まる。彼の娘ジュリエットの答え「2つあるわ、世界を可愛くするためと、私たちのためにハチが蜜を作るのを助けるため。」彼はジュリエットにそれは間違っていると説明したそうだ。偉いね・・・。そして問いは「生物は何故いるのか?」と発展する。本物のウイルスとコンピュータウイルスの比較の話をしながら、その答えを導く。
Ⅸ章
 花やゾウは、それらがウイルスのDNAの宿主であるのと同じように、彼ら自身のDNAの宿主でもあり、遺伝子とかDNAは「自分自身をコピーせよ。」というプログラムであり、宿主はそれを積んだロボットである。ウイルスの遺伝子は、「ゾウの細胞よ、私をコピーせよ。」というプログラムであり、ゾウの遺伝子は、「ゾウの細胞よ、一緒に働いて新しいゾウを造るプログラムを積んだ新しいゾウを造れ。」というプログラムである。
 各身体は、協調的な遺伝子と非協調的な遺伝子を持っている。非協調的なものは、ウイルスやその他の寄生生物の遺伝子で、協調的な遺伝子はヒトやカンガルー、ゾウなど自身の遺伝子である。しかし遺伝子は、協調的なものであれ非協調的なものであれ、「私をコピーせよ。」というプログラムを持っている。
 という話で、『利己的な遺伝子』で言うところの、生物=遺伝子を載せた機械である。というのと同じ事を言っている。
Ⅹ章
 イチジクとハチを例にした共進化の話で、結構複雑で難しかった。

theme : 洋書
genre : 本・雑誌

「分子生物学への招待」

分子進化学への招待―DNAに秘められた生物の歴史 (ブルーバックス)分子進化学への招待―DNAに秘められた生物の歴史 (ブルーバックス)
(1994/12)
宮田 隆

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 木村資生『生物進化を考える』の分子生物学分野を少し細かく解説した内容。

 初めの3章で進化・遺伝の簡単な説明をして、4章は分子時計について。これは今まで読んだ分子時計の中では一番詳しかった。5章は重要なアミノ酸は変わらないということ。6章は分子進化の速度について、7章はウイルスの進化の早さについて、8章は雌雄の突然変異率の違い、9章は遺伝子重複・偽遺伝子・多重遺伝士族
 第2部は分子系統進化学入門
 第10章は化石による生物進化の説明、11章は分子系統進化学とは何かについて、12章は古細菌の話、13章真核生物と細胞内共生の話、14章動物界・植物界・菌界の関係、15章多細胞動物の系統、16章脊椎動物の進化、17章その他の話
 第3部は表現型進化と分子進化の関係
 木村資生『生物進化を考える』でも触れられていた分子進化学に残された最大の課題である表現型と分子進化の関係について

 第2部の後半が少し冗長だったが、それ以外はスムーズに読めた。ただ『生物進化を考える』の方が読みやすい。図や表が多いのは評価できる。

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「オスの戦略メスの戦略」

オスの戦略メスの戦略 (NHKライブラリー)オスの戦略メスの戦略 (NHKライブラリー)
(1999/12)
長谷川 真理子

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 一般向けの読み物だが、結構細かい話まで書いてあって読み切る持久力のある人には楽しいだろう。口絵に美しい写真が何枚かあってそれもよかった。ケツァールの写真がGood!
 だいたい読んだことのある内容が多かったが、ちょっとメモ。

 性の利点
1.ラチェット説(有害変異をため込まない)ミュラー
 組み替えによって有害な突然変異を散らせる。それによって有害変異が個体に蓄積するのを防ぐ。しかし、このような利点が現れるには非常に長い時間がかかるため、短期的な繁殖上の有利性から無性生殖が侵入してしまうためにESSではないと考えられている。
2.宝くじ説(買い目が多いほど当たる)G・ウィリアムズ
 組み替えによりいろいろなタイプの子を作ることが出来、分散した先でうまくゆく個体の確率を上げる。しかし、この説では不安定な環境にいる生物に有性生殖が多いことになるが、実際には逆である。
3.遺伝子修復説 バーンステイン
 二本鎖であることにより、片方の損傷を復元できる。バクテリアの接合もこの効果のためだろう。この仮説は、性の始まりを巧く説明している可能性はあるが、そのためだけに性が維持されているのかは疑問である。
4.赤の女王仮説
 性は寄生者から逃れるための手段。寄生者は宿主よりも体のサイズが小さく、世代時間も短いので、早く進化するから、宿主はランダムに変化するのが有利である。

分断淘汰:両極端の性質を持ったものだけが残される。
雌雄同体は移動性の低い生物が多い。
性転換の利点:体長有利性仮説(一夫一妻か一夫多妻か)
どちらの性が競争するか:潜在的繁殖速度+実効性比

 終わりの方の何章かはヒトについて書いてあった。化石人類との比較からヒトの(本来の)配偶システムを検証する部分は面白かった。著者の結論は、「ヒトの生物学的特徴から推定される初期人類の配偶システムは、夫婦のきずながあり、その形態は一夫一妻から軽度な一夫多妻で、そして、ある程度の精子間競争が存在するもの」だそうだ。
 現代人についても述べているが、著者がどう考えているか分かりづらかったが、適応度で考えるのは適さないのではないかと私は思う。

 実は続けて、
雄と雌の数をめぐる不思議 (中公文庫)雄と雌の数をめぐる不思議 (中公文庫)
(2001/11)
長谷川 真理子

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を読み始めたのだが、あまりに同じ内容が多すぎて途中で飽きてしまった。きちんと理解し、ものにするためには読んだ方がいいのだろうが、連続して読むのは厳しい(笑)と思った。
 順番を変えよう。しかしハセマリは性淘汰関係の本出し過ぎ・・・

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「生き物の進化ゲーム」

生き物の進化ゲーム―進化生態学最前線 生物の不思議を解く生き物の進化ゲーム―進化生態学最前線 生物の不思議を解く
(1999/09)
酒井 聡樹近 雅博

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 非常に分かりやすい本だった。大学1,2年向けの教科書にもなるとまえがきにあったが、これは生物系の学生という意味なのか、一般教養的な意味なのか、どちらも想定しているのか、気になるところだ。
 まず初めに、自然淘汰・適応・ESSなどの基本概念を説明してくれる。次に具体的なテーマ毎に、数理モデルを示してゆく。テーマは、性比・性表現・性転換・性淘汰・性の数・行動や生活史・利他行動・親と子の対立・共進化・擬態・その他と続く。ほとんどのテーマは「利己的な遺伝子」やその他の書物で読んだことのあるものだったので、分かりやすかった。扱っている数式モデルも易しく、理解できた。易しすぎて紙と鉛筆を使うのをサボってしまった。この本も数理生物学(生態学)ってどういうの?という質問に答えるには良い本だと思う。

theme : 数学
genre : 学問・文化・芸術

「生物進化を考える」

生物進化を考える (岩波新書)
 「分子進化の中立説」で有名な木村資生の一般向け概説書。
 新書なんだけど教科書チックで非常に分かりやすい。ただ真っ新な状態では読むのは辛いかもしれない。内容の配分も素晴らしく、生徒に進化論を(きちんと)勉強したいんだけど何か良い本ありますかと聞かれたらこれを勧める。

第1章 生物の多様性と進化の考え
第2章 遺伝学に基づく進化機構論の発達史
第3章 進化の道すじをたどる
第4章 進化要因としての突然変異
第5章 自然淘汰と適応の考え
第6章 集団遺伝学入門
第7章 分子進化学序説
第8章 中立説と分子進化
第9章 進化遺伝学的世界観

 第6章は遺伝学概論で学んであったので読めたが全くの初学では紙と鉛筆を手にでないと厳しいかもしれない。第7~8章では、初めて「中立説」についてきちんと読んだ。いずれ「分子進化学入門」「分子進化の中立説」も読みたい。
 第9章はいろいろな意味で感動。

theme : 本の紹介
genre : 学問・文化・芸術

「動物たちの戦略 現代動物行動学入門」

動物たちの戦略―現代動物行動学入門
日高先生3連発

 ソロモンの指環にも、「イヌは10分でも散歩に連れてってもらえるなら書斎の前で何時間でも待つ。」って文章があってジンときたけど下のも・・・・。

 イヌは飼い主の動静にとても敏感である。
 飼い主一家が全員で2~3日旅行に出かけるとする。イヌは一家の人々がなにやら忙しく旅支度をしているのをじっと見ている。どうも様子が変だ。イヌは不安になる。そのうちに、飼い主はドッグフードをたくさん置いて、なにやら自分に言う。人間は、「ちょっと家族旅行に行ってくるからおとなしく待っているんだよ。留守中は何々さんに頼んでおいたからね。すぐ帰ってくるから心配なんかすることないよ。」と言っているのだが、イヌにはそんな複雑なことは通じない。
 まもなく一家ははしゃぎながら出かけて行ってしまう。たちまちイヌは不安のどん底にたたきこまれる。ああ、みんなどこかへ行ってしまった。もう帰ってこないんじゃないか、ぼくはいったいどうなるんだ。
 飼い主がどこかへ行かなくても、イヌには不安の種は尽きない。たとえば飼い主に夫婦げんかが絶えない。あるいは子供のことでイライラし、2人とも機嫌が悪いとする。イヌにはこういう状況が耐えられない。小さな子供と同じ事で、いつ自分のこの安住の地が崩壊してしまうかという不安に襲われるのである。
 そうなったら、もう食べ物も食べられない。眠ってもぐっすりとは眠れない。イヌは心身症に陥ってしまう。吐いたり下痢したり、ひどければ胃潰瘍になる。血の混じった便をして、急速に痩せていく。良くものを知っている獣医ならそれを見て、すぐに飼い主にこう聞くだろう。「お宅のご家族にこのごろ何か問題はありませんか」と。

 リアルだ・・・。悲しすぎる。


 利他行動について、包括適応度を使って分かりやすく説明してあり、その例外として

  鳥やその他の多くの動物に見られるヘルパーという現象がある。ヘルパーとはつまりお手伝いさんである。巣を作り、雛を育てている小鳥のつがいを自分は独身なのにせっせと手助けするヘルパーがいる場合がある。ヘルパーはひなに餌を運び、危険が迫ると率先して防衛に当たる。
 包括適応度概念の流行の中では、当然このヘルパーはつがいの血縁者なのであろうと考えられたが、そうではない場合が随分多いのである。だったら、ヘルパーは、縁もゆかりもない他人夫婦を助けて、いったい何の得があるのだろう。

 ドーキンスだと思うが、ヘルパーは子育ての訓練をすることで貴重な体験をしている。そのことが利益となっているって書いてあった。一理あると思う。

theme : 図書館で借りた本
genre : 本・雑誌

「ソロモンの指環」

図書館で借りたので版が違うけど中身は同じでしょう。
ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)
(1998/03)
コンラート ローレンツ

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 ノーベル賞受賞者の有名な本

 ミツバチのダンスのフリッシュ、本能について研究したティンバーゲン(ドーキンスの先生)とともに「刷り込み」についての研究をしたローレンツの3人がノーベル賞を受賞した。この3人は動物行動学の祖とされている。
 ダーウィン自身は動物の行動や生態、心理的過程までも進化の研究の対象になりうると考えていたが、忘れ去られており、この3人によって再び注目を集めるようになった。

 この本は古いこともあり、新しい研究では間違いとされている部分もある。

 敵に対する反応としてコクマルガラスが生まれつきもちあわせているのは、黒い、ダラリとたれた、あるいはブルブルふるえる生き物をやたらに攻撃するという反応だけである。そのときコクマルガラスは身をかがめ、翼を半ば広げてふるわせ、ギャアギャアという警戒声を発する。耳を聾する金属製のこの叫び声が、はげしい腹立ちの表現であることはわれわれ人間にもはっきりわかる。
(中略)
 何か黒いもの、風に揺れるものを手に持っていたが最後、彼らを喰う者だという烙印を押されてしまう。
(中略)
 疑いもなく。この「ギャアギャア反応」の本来の意味は、捕食者に捉えられた仲間を守ることにある。被害者を救い出せればよし、そうでなくとも捕食者の意図達成を困難にし、今後コクマルガラス狩りを思いとどまらせる効果がある。もし、このためにたとえばオオタカのような猛禽が、ギャアギャアわめいて邪魔しない鳥よりも、コクマルガラスをきらうようになったとしたら、この反応はコクマルガラスにとってすでに「利益を生んでいる」、すなわち、種(族)の維持に重要な価値をもっていることになる。

 種淘汰は間違い。その行動が利益になるのは確かだが、守る雛が自分の血縁である可能性が高いことによって、ギャアギャア反応をする遺伝子がプール内に広まったのだろう。

 コクマルガラスには順位制があるが、順位の低い2羽が争いだすと、近くでこれを見ていた順位の高いコクマルガラスが、はげしくこれに割り込んでゆくことになる。するとたちまち2羽の争いは、ますますはげしい形をとる。けれども干渉に入った鳥は、争っている2羽のうち順位の高い方に対して激するのがつねである。そこで、割って入った順位の高い鳥、とくに群のデスポット(ボス)は、かならず騎士道の原則に従って振る舞うことになる。すなわち、どちらかが強いときは、かならず弱い側に立つのである。そして、熾烈な争いはほとんどの場合、営巣場所を巡って発生するために(その他の場合には順位の低い者が闘わずしてひきさがる)、オスのコクマルガラスのこのような行動は、順位の低いメンバーの巣を守ってやることになり、きわめて有益な役割を課している。

 何に対して「有益な役割を果たしている」のか書いていないが、文脈的にはまた「種の維持」だろう。そしてこれもまた間違いである。細かいシミュレーションは出来ないが、おそらくそうすることがESS(進化的に安定な戦略)なのであろう。

 真の意味での言語というものを動物たちはもっていない。高等動物、とくにコクマルガラスやハイイロガンのように社会生活をするものは、なにかを表現する運動と音声との完全な信号体系を生まれながらにしてもっている。そして、この信号を発する能力も、それを正しく「理解する」すなわち種を保つように答える能力も、ともに生まれつきのものである。

 これも同様。「種を保つ」ためではない。そうすることが自分自身(個体)が有利であることから進化した。

 インコについて・・・・物真似や思考結合さえ可能にするほど完成された鳥の鳴管と脳の複雑な構造は、どうみても種の維持という機能のために発達したものではないようだ。それらが「なんのための」ものなのか、考えても無駄だろう。

 学者が考えることを「無駄」などと言ってはいけなかろう・・・。

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「ブラインド・ウォッチメイカー」

ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈上〉
ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈下〉

 進化論を信じず、神がこの世を作ったと信じる人たちがしばしば使う反論に「偶然による自然淘汰によって、例えば眼のような不雑な器官が出来るわけがない。」というものがある。それに対するドーキンスの答え。

 先の質問に対して、ダーウィンのブルドッグと言われた進化論支持者のトマス・ハクスリーは、「十分に長い時間と壊れないタイプライターがあれば、猿がランダムにタイプライターを叩き続けても、 いずれは、シェイクスピアの全編を書き上げるだろう。 」と言ったとされている。
 似たものに「スクラップの山の上を竜巻が通過して偶然ボーイング747が出来る。」「全ての部品を箱に入れがちゃがちゃと振ったら時計が出来上がる。」などという例もある。どういうことかと言うとこれらは全て進化は偶然の積み重ねであるという前提に立っているという事です。

 しかし、実際はそうではありません。進化の2つの要素である突然変異と自然淘汰のうち、確かに突然変異は偶然であるが自然淘汰は全くその反対で必然なのです。「累積淘汰」によって、眼のような複雑な器官も自然淘汰によって造り出される可能性は十分にあるのです。

 余談ですが、ジャック・モノー「偶然と必然」って本があるんですよね。内容的に関係あるのか知りませんが非常に興味をそそるタイトルです。

 それを生み出す自然淘汰のプロセスには、複雑なものを作り上げようという意図も、先の見通しもないが、もし自然界に時計職人にあたるものが存在するとしたらそれは神や奇跡ではなく、この自然淘汰である。そしてこのいわば「盲目の時計職人」は、しばしば考えられているような単なる偶然では決してないのです。

 この本の主題は上巻全6章のうち3・4章までで「累積淘汰」という結論を出してしまっている。
第5章では、遺伝子情報の巨大さについて
第6章では、進化の前段階、生命の起源について

第7章では、捕食者と餌生物、寄生者と宿主、1つの種の雄と雌などの間の「軍拡競争」について
第8章では、クジャクや極楽鳥の過剰な尾羽などの「性淘汰」の特殊な事例について
第9章では、「区切り説」への反論
第10章では、進化から見た生物の分類について
第11章では、ラマルク主義、中立説などについて

 なお、現在では改訂されています。
盲目の時計職人盲目の時計職人
(2004/03/24)
リチャード・ドーキンス

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theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

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 進化生物学を学ぶアマチュアです。本業は数学教師です。ほとんど自己満足の日記と化してますが、コメントどんどん下さい。質問・議論・アドバイスも歓迎です。

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