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「春の数えかた」

春の数えかた春の数えかた
(2001/12)
日高 敏隆

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 日本における動物行動学の先駆者である日高先生の書いたエッセイ集。幼少の頃の体験なども綴られており、この道を目指すきっかけなどを想像すると興味深かった。
 1つ気に掛かった箇所

 昔ぼくはある先生に、「虫はなぜ光に集めるのですか?」と質問してえらく叱られた。「君、科学にはなぜという質問はないんだよ。科学で答えられるのは、いかにして?という問いだけだ。」そしてその先生は、「なぜ?」とは英語のwhy?であり、「いかにして?」は英語のhow?である、科学はwhy?と問うてはいけないのだ。と教えてくれた。ぼくはこれに、いいようのない不満と反発を感じた。
 その後、科学もwhy?と問うてもいいように、世の中は変わってきた。しかし、虫がなぜ光に飛んでいくかという議論にはさっぱりお目にかからなかった。


 これは深い・・・

 文庫も出ています。
春の数えかた (新潮文庫)春の数えかた (新潮文庫)
(2005/01)
日高 敏隆

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theme : 研究者の生活
genre : 学問・文化・芸術

「生物は体のかたちを自分で決める」

生物は体のかたちを自分で決める (進化論の現在)生物は体のかたちを自分で決める (進化論の現在)
(2002/10/17)
ジョン・メイナード=スミス

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 ジョン・メイナード=スミスも進化学の大御所、確か著書は初めて読む。この体裁とタイトルから易しい初心者向け、いや実際一般向けなのだが、と思ったがなかなかどうして難しかった。
 発生生物学に関する話だが、個体発生は系統発生を繰り返すという有名なフレーズの否定などはまさに初心者向きだった。面白かったのは2章の「信号はいかに保存されるのか」で、何らかの構造を特定の場所につくるための信号として働く遺伝子が、かなり離れた生物の間で共有されており、なぜその信号は進化の過程で変わらなかったのかという話だ。4章「情報か自己組織化か?」が難しかった・・・。もっかい読むか。

 というわけでまだ読んでいないが、『生物学のすすめ』の方が読みやすそうだ。

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「進化論の見方」

「進化論の見方」
 非常に読みやすく、またコンパクトにまとまった良い教科書だと思う。一般向けの概説書ではなく専門に学ぶ人の入門としては最高ではないか。

第1章生物進化とはなにか
 進化の定義、単位について
第2章適応と自然選択
 適応と自然選択の定義、その関係、よくある誤解と注意点
 群淘汰のまずい点
 血縁選択をはじめとする様々な選択とESSについて
第3章進化の要因
 共進化、軍拡競争、赤の女王仮説、共生
 ヘテクロニー(異時性)、ホメオティック突然変異など
 集団遺伝学の基礎
第4章マクロな進化と長期的な進化傾向
 種の定義と分化の様式
 小進化と大進化
 断続平衡説のまずい点
第5章遺伝の機構と分子進化
 メンデル遺伝、獲得形質の遺伝
 分子進化の中立説
第6章様々な進化要因の相対的な重要性
 進化のプロセスと進化の要因
 進化のプロセスとその単位

新しく学んだこと
デーム:ある地域で固体どうしが互いに繁殖しあっている集団
密度依存選択:生物の密度によって適応度が変化するタイプの選択
シフティング・バランス理論
自然選択の働きは、生物の遺伝的な性質を集団内に広めるだけでなく、除去したり維持させたりすることの再確認

進化論の見方進化論の見方
(1989/08)
河田 雅圭

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theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

ヒイラギの発光

スズキ目ヒイラギ科ヒイラギ属(Leiognathus nuchalis)
imgp2223.jpg

 海面近くを群で泳ぐイワシやサンマ等は背ビレ側が青黒く、お腹側は白っぽくなっています。海上の鳥たちからは海にとけこみ目立たなくなり、下から狙う捕食者たちには明るい水面にあわせて影を消しているのです。これは一般に counter shading (体表の光のあたる部分が暗い色に、陰になる部分が明るい色になっている)という適応として知られています。こうした配色では魚はどの方向からでも見えにくいのです。しかし魚の腹部がどんなにまっ白であったとしても、明るい水面を背に下から覗かれれば黒く見えるに違いありません。なぜなら見る者と光源との間にあるものが光源より明るく見えることはないからです。例えばまっ白な雪も灰色の空に見上げると灰色より濃く見えることがあります。経験がある人もいるのではないでしょうか。この雪片と同じことが、魚にもあてはまるのです。
 この問題に画期的な解決法を持つ魚の中にヒイラギというのがいます。ヒイラギには、発光腺があり発光細菌 Photobacterium Leiognathi が共生しています。またその背後には特定の方向に光を送る反射板まで備わっています。発光腺は体の奥深くにありますが、光は内臓を通して下方を照らします。ヒイラギは小さな魚でその組織はいくぶん透明なので光は外に漏れて腹部の表面のあたりをぼーっと照らし出すのです。上方から少しでも光が差していれば、下にいる捕食者には頭上の光を横切るヒイラギの影が見えますが、その光にあわせて腹部から光を発して影を消すことができれば見つかる可能性は低くなります。実験をしてみると、上方からの薄明かり以外に照明のない屋内の水槽内でヒイラギは光を放ちました。それは自分よりも低い位置にある視線にたいして自分の影を消すためなのです。

 ちなみに名前の由来は植物の柊(ヒイラギ)です。柊の葉のように扁平で棘も似ていることから名が付きました。魚で木偏の付く名前はヒイラギだけです。また薄い体型なのに硬くて強い骨を持っていることからネコ殺しとかネコまたぎという別称も多いそうです。英語ではスリップマウスと言うのですが、これは口を伸ばしエサを吸い込むようにして食うことから来ています。学名のレイオグナータスも滑らかなアゴという意味です。

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「種の起原」

種の起原〈上〉 (岩波文庫)種の起原〈上〉 (岩波文庫)
(1990/02)
チャールズ ダーウィン

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 「種の起原」を読み通した人は少ないと聞いたことがあるが、それも分かる気がした。特にこの版は訳が古い為もあって日本語も難しい。内容的にも現在では誤りとされている点などに注意を払いながら読まなければならなかったのも負担だった。もっと勉強した後にもう一度戻ってこなければならないと思った。
 ただダーウィンのすごさを再認識した部分もある。どの話題もどこかで、特にドーキンスで、読んだことのあるものばかりだった。それだけ引用されているということだし、今でも引用する価値があるということだろう。また、ダーウィンも獲得形質の遺伝を認めるような記述があるのに、そういう認識が無く、ラマルクの専売特許的な記述の本があるから注意が必要だと言われているが、確かに「種の起原」には獲得形質の遺伝を認める記述が多々あった。それを原著で確認しただけでも収穫と思おう。
種の起原〈下〉 (岩波文庫)種の起原〈下〉 (岩波文庫)
(1990/02)
チャールズ ダーウィン

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theme : 歴史上の人物
genre : 学問・文化・芸術

「延長された表現型」

延長された表現型―自然淘汰の単位としての遺伝子
 それぞれの表現型は自然淘汰を勝ち抜いてきた結果そこにあるものです。キリンの首が長いのも1つの表現型で、カタツムリの殻があるのも表現型。キリンの首やカタツムリの殻は遺伝子の作用によって作られるものです。では、ミツバチのダンスやヤドカリが貝殻を被る行動はどうなのでしょう、やはりこれも遺伝子がそうさせているわけです。ダンスを踊らないハチは絶滅し、貝殻を被らなかった昔のヤドカリの仲間は自然淘汰に勝ち抜けなかったのかもしれません。つまり、これらの行動も表現型の1種と見てよいのではないかということです。更に、蜘蛛の巣の網はどうか、これもまたやはり遺伝子がそうさせているのであって、効率よく餌を捕らえる事の出来る網を作らせる遺伝子は生き残っているわけです。餌を取れない網しか張る事の出来ない遺伝子は、蜘蛛が死んでしまうためコピーされ次代へ伝えられることなく消えてゆく。もっと大きなものではシロアリの塚や、ビーバーの作るダムも遺伝子の表現型であると言っています。更にその影響は他の生物にまで及ぶと言っています。

 なるほど、確かにそうだと思う。身体のつくりも、その行動の特色も、行動による造作物も全て遺伝子の支配下にあるわけですから。こうした「延長された表現型」を考える事によって見通しの良くなる場合がありますよというのがこの本のテーマです。

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「はじめての進化論」

「はじめての進化論」

 読みやすくバランスも取れている。ダーウィン・ラマルクから現代の進化論まで幅広く扱ってあり、それぞれの問題点にも触れている。著者の好みの押しつけもあまりなかったので初心者には非常に勧められると思う。


theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

ミツバチ

ハチ目(膜翅目)ミツバチ科ミツバチ属セイヨウミツバチ(Apis mellifera)
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【腐岨病対策】
 ミツバチは腐岨病という細菌性の伝染病にかかる。これは巣内の幼虫をおかす病気である。養蜂家に飼われているミツバチでは、ある系統が他の系統よりこの病気にかかりやすい。そして、系統間のこの違いは、少なくともいくつかの例では、行動の違いによることが分かっている。いわゆる衛生的な系統は、病気にかかっている幼虫を見つけて、巣から引っ張り出し、巣の外に放り出し、いそいで病気を撲滅してしまう。いっぽう、感染しやすい系統は、この「幼虫殺し」を行わないため、病気にかかりやすい。この衛生法は実際にはきわめて複雑な行動から成っている。働きバチは病気にかかったそれぞれの幼虫の巣室を見つけ、その巣室のろうのふたをはずし、幼虫を引っ張り出した後、巣の出入り口から引きずり出して、ゴミ捨て場に捨てねばならない。
 ミツバチを使って遺伝の実験を行うのは様々な理由から非常にやっかいな仕事である。働きバチ自身は繁殖しないので、ある系統の女王蜂と他の系統の雄蜂とを掛け合わせて、それから生まれた働きバチの行動を見なければならない。これを行ったのは、W・C・ローゼンブーラーである。彼は、雑種第一代のミツバチが全て衛生的でないことを見いだした。つまり、衛生的形質の遺伝子は、人間の青い眼の遺伝子と同様に、ちゃんと存在していた。だが、劣勢だったのである。ローゼンブーラーが、雑種第一代と衛生的形質の系統とを、「戻し交配」してみた(もちろん女王蜂と雄バチをつかって)ところ、たいへんみごとな結果が得られた。生まれたミツバチは3つのグループに分かれた。1つのグループは完全な衛生的行動を示した。第2のグループはまったく衛生的行動を取らなかった。第3のグループは中途半端な行動を示した。この最後のグループは、病気の幼虫のいる巣室のろうのふたをはずしたが、最後までやり遂げて幼虫を捨てることはしなかったのである。ローゼンブーラーは、ふたを取ることに関するのと、幼虫を捨てることに関するのと2種類の遺伝子があるのだと考えた。正常な衛生的系統はその両方の遺伝子を持っており、感染しやすい系統はその2つの遺伝子の対立遺伝子を持っている。途中までしか行わない雑種はおそらく、ふたをとる遺伝子を(2倍数で)もっているが、捨てる方の遺伝子を持っていないのであろう。ローゼンブーラーは、まったく非衛生的に見えるミツバチのグループの中に、幼虫を放り出すための遺伝子は持っているのだがふたを取る方の遺伝子を失ったために、その能力が現れないグループが隠されているのではないかと考えた。そこで彼は自分でふたを外してやり、この推測の正しさを見事に証明した。非衛生的に見えるミツバチの半数は、このときまったく正常な幼虫捨て行動を示したのである。

【働きバチの神風特攻隊】
 ミツバチの針は産卵管が変化して出来たものですが、”かえし”があるので、皮膚に刺さると抜けなくなります。無理に抜くと針の根本にある毒腺ごと抜けて、付随する筋肉が自動的に働いて毒液を注入し続けるのです。当然、そのミツバチは死んでしまいます。働きバチのこのような自殺的行為はコロニーの生存に必要な食料の蓄えを守ったかもしれないが、そのハチ自身はその利益にありつけません。
 なぜそのような行動が進化したのか。通常の有性生殖をする動物では、子は親からそれぞれ1/2ずつ遺伝子を受け継ぎます。つまり、子と父親は半分が同じ(遺伝子を持っている)。子と母親も同様です。兄弟姉妹ではどうでしょうか、確率的には1/4が同じ(遺伝子を持っている)。こう表現することもできます。弟の1/4は自分である(弟の1/4は自分と同じ遺伝子である)。たとえ自分が犠牲となっても、そのことによって4人以上の兄弟姉妹が生き残るならば、自分にとっても得なんです。つまりそのような行動は進化します。逆に言うと1人や2人の兄弟姉妹の為に犠牲になるような行動は進化しません。ハチは他の生物となにが違うのでしょうか。実はただの有性生殖ではありません。半倍数性という特別なものです。まず、オスの染色体は16本で、メスの染色体は32本です。オスはメスの半分しか染色体を持っていません。どういうことかというと、オスには父親がおらず、メスのみで産むことが出来るのです。そうするとオスである子は母親の1/2の遺伝子を受け継ぎます。メス(働きバチ)はどうか、メスはオスとメスの交尾によって生まれるのですが父親は染色体が半分しかありませんから、その全てをメスである子に渡します。母親からは1/2の遺伝子を受け継ぎます。すると、メスは父親由来の遺伝子は全ての子で共通です。母親由来の遺伝子は1/2の確率で共通です。平均すると姉妹同士は3/4の遺伝子が同じなのです。通常の有性生殖する生物の兄弟姉妹では1/4でしたので、3倍も高いのです。
 ミツバチの雄蜂は未受精卵から生まれるということは、父親がいないことになります。女王蜂は、結婚飛行で他の巣の雄蜂と交尾して、一生分の精子をため込みます。この条件ですと、女王蜂にとって、生む働き蜂の遺伝子の1/2引き継いでくれる跡継ぎです。これは人間の場合と同じと考えていいですね。では娘蜂(働き蜂)同士ではどうでしょうか。人間の場合は1/4が同じでしたが・・・。娘蜂にとって父親由来の遺伝子は全く同じですから、なんと3/4が同じだと言うことになります。なんと、親子の1/2より兄弟間の方が近いのです。すると、親が自己犠牲をしてまでも我が子を守る以上に、兄弟のために自己犠牲をする方が「利己的遺伝子」の仮説では、より説明しやすくなるというわけです。
 私たち、人間で考えると親から子で遺伝子1/2相続されますから。兄弟姉妹では1/4が相同であると考えられます。親がこのため、さらには兄弟のために自己犠牲なり利他的な行動も遺伝子的には無意味ではないということになるわけです。これが、ミツバチの場合にはおもしろいことになります。ミツバチの雄蜂は未受精卵から生まれるということは、父親がいないことになります。女王蜂は、結婚飛行で他の巣の雄蜂と交尾して、一生分の精子をため込みます。この条件ですと、女王蜂にとって、生む働き蜂の遺伝子の1/2引き継いでくれる跡継ぎです。これは人間の場合と同じと考えていいですね。では娘蜂(働き蜂)同士ではどうでしょうか。人間の場合は1/4が同じでしたが・・・。娘蜂にとって父親由来の遺伝子は全く同じですから、なんと3/4が同じだと言うことになります。なんと、親子の1/2より兄弟間の方が近いのです。すると、親が自己犠牲をしてまでも我が子を守る以上に、兄弟のために自己犠牲をする方が有利というわけです。


"Fruitless Fall" 「ハチはなぜ大量死したのか」
「虫を愛し、虫に愛された人 理論生物学者W・ハミルトン 人と思索」
「科学の目、科学のこころ 」
「動物の社会―社会生物学・行動生態学入門」
動物行動学
「ミツバチの不思議」
「十二の小さな仲間たち―身近な虫の生活誌」
「延長された表現型」
「利己的な遺伝子」

「進化の不思議と謎」

進化論の不思議と謎―進化する「進化論」 ダーウィンから分子生物学まで (学校で教えない教科書)進化論の不思議と謎―進化する「進化論」 ダーウィンから分子生物学まで (学校で教えない教科書)
(1998/07)
山村 紳一郎中川 悠紀子

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速読

p97「複雑な器官が偶然による突然変異の積み重ねで完成するというのは、レンガをでたらめに放り上げて、積み上げていくとりっぱな建物ができると信じるようなものであるとの批判も出てくる。」

「盲目の時計職人」の説明で納得が出来た。

p100「たとえば血液中で酸素を運ぶヘモグロビンは2つのアルファ鎖は2つのベータ鎖からできている。」

「2つのアルファ鎖と2つのベータ鎖」の間違い

p121「つまり現在の進化研究は、生命の誕生を生物学的進化の前段階である科学的な進化のレベルに求めるようになってきているわけだ。」

科学的な進化→化学的な進化 の間違い

 著者の1人は専門が地質学と古生物学、もう1人は岩石学、あと1人はサイエンスライターだし、一般向けの本なので浅く広くという感じで内容も易しかったが上の様な誤植や説明の重複、脚注の語句説明のピントづれなどが多く、勧められない。

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「進化とはなにか」

進化とはなにか―20億年の謎を探る
 浅間一男「生物はなぜ進化したか」の中に出てきたハクスリーの本を見つけた。
 この人はトマス・ヘンリー・ハクスリーの孫で、ジュリアン自身も有名な生物学者でこの本は古典と言われているそうです。
 トマス・ヘンリー・ハクスリーとは、「ダーウィンのブルドッグ」と言われ、ダーウィンを擁護したイギリスの生物学者。有名なエピソードに『「種の起源」が出版された翌年である1860年のオックスフォード集会で、反対派の主教がハクスリーに対して「・・・・・・あなたの祖先というサルは、母方ですかそれとも父方ですか。」と皮肉った時、彼は、こう答えたそうです。「ご質問が私に卑しいサルを祖父にもちたいのか、それとも、すぐれた才能と大きな影響力もちながら、それを厳粛な科学的議論をひやかすためだけに用いる人間を祖父にもちたいのか、と問うならば、私はためらうことなくサルを選ぶと断言いたします。」』というものがあります。


 浅間一男「生物はなぜ進化したか」で引用され、「ありえないことを信じているようなものだ」と結論していたが、文脈が違っていた。この本に出てくる計算は、確かにありえないほどの確率について述べているのだが、その後にしかし実際に進化は起こっていると、そのありえない程の変異を自然選択(自然淘汰)は引き起こす。それほどに自然選択の力は大きいと言っている文脈だった。しかも計算はハクスリー自身のものではなく、マラー教授という人物が行ったものと書いてあった。だから、「生物はなぜ進化したか」の著者は故意に一部分だけ引用したのだろうし、渡辺教授は理解していないだろうし、週刊現代はワケワカランチンですね。
 かなり古い本(1952年)なので、いろいろと問題のある点もあったが、古典として読むならば構わないと思う。進化論の歴史を知るにはいいでしょう。ただ、一般的に進化論について知りたい場合は現代の著者が書いたものがたくさん出ているので、この本を選ぶ事はお勧め出来ない。

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「生物はなぜ進化するのか」

生物はなぜ進化するのか (サイエンス・マスターズ)生物はなぜ進化するのか (サイエンス・マスターズ)
(1998/04)
ジョージ・C. ウィリアムズ

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 著者のジョージ・ウィリアムズは1966年の"Adaptation and Natural Selection"という世界的に有名な著作により、自然淘汰は遺伝子のレベルで起こることを提唱し、現在のドーキンスらに対して多大な影響を与えた進化生物学の重鎮。"Adaptation and Natural Selection"は邦訳されていならしいが読んでみたい。

 進化論の基本を読み解く啓蒙書。性に関する進化と、老いや病気に関する進化、この2つが面白かった。また、新しい説明のたとえがあった。人間がデザインしたモノにも進化があると。それはそうだと思う。それには、計画されたデザインだけでなく試行錯誤による(人為)選択も働いている。と言うのです。なるほど確かにそうだ。丸い鉛筆よりも六角形の方が使いやすいから、六角形の鉛筆が主流になっているのだ。釣り針だって、いろいろな形を試してあの形に落ち着いたのだろうと言っている。むむむ、なるほど・・。
 そしてこう続く。
 では、(自然)選択のみでどれほどのモノができあがるだろうか。手や眼、免疫システムなど全ての生物のあらゆる仕組みが試行錯誤による選択だけで出来る。と、こう言っている。

 性に関する進化の話では、有性生殖(雄と雌)の起源、精子と卵子はなぜあるのか。なぜ雌雄同体なのか、性比や雄の大きさなど興味深い話題が多く、楽しめた。
 老いや病気に関する進化は、ダーウィン医学などと呼ばれて注目されているらしい。面白い発想だと思うし、必要な視点だと思う。例えば、風邪を引くとくしゃみをするのは、ヒトの側が細菌を外へ排出しようとして起こる現象だが、細菌の側もそれを助長するように進化しているだろうということです。何故ならくしゃみを多く強く起こさせる事によって、自分たちは次の宿主へと移動し、子孫を増やすことが出来るからです。狂犬病の犬が涎をだらすのも似たようなものでしょう。細菌を外へ出すためには、本当はくしゃみを思い切りした方がいい。しかし、周りに人がいる場合は感染を防ぐためにやはりマスクが必要になります。言い換えると、病気への対処は伝統的な医学的解決と、生物学的解決があるということです。これは非常に面白いと思う。
病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解
(2001/04/15)
ランドルフ・M. ネシージョージ・C. ウィリアムズ

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 これ、読みたいなぁ。

theme : 自然科学
genre : 学問・文化・芸術

「生物はなぜ進化したか」

 著者は化石植物の進化と系統が専門のラマルク主義者。

 速読。

p121「最近の週刊現代(1978年7月13日号118ページ)に『むしかえされるダーウィンの進化論争・進化論より変化論』と題して上智大学の渡辺昇一教授が最近のイギリスに起きた進化論論争について紹介している。その中でやはり前述したハックスリーの計算をあげ、『進化論はほとんどゼロといっていいくらいの確率のことを信じているにすぎないというもの。・・・・・・(ハックスリーの計算をのべている)・・・・・これは常識的には、ありえないことを信じているようなものだ、ということになります。・・・・』と述べている。」

週刊現代からの引用だそうです・・・。
 渡辺昇一って英語学の先生です。渡辺教授は進化論なんか常識程度にしか理解してないでしょう。

p161「歴代の徳川将軍の遺骨を研究した結果を報告している。それによると約250年間の間に将軍自身の顔にも大きな変化が見られたという。変化の大きく示されているのは咀嚼器官の弱体化で、後代になるほど顕著に表れていたという。この咀嚼器官の弱体化は当時の将軍や貴族に共通した現象で、その原因として当時の貴族の生活様式、とくにほとんどかむ必要のない特殊な食生活が考えられ、それがため咀嚼器官が退化して、現在でも稀な超現代的な顔が形成されたものだろうというのである。」

発達・成長に必要な刺激が足りなかったから弱体化しただけで、進化ではないと思います。おそらくその後期の将軍の子を現代風に育てたら咀嚼器官は発達するでしょう。

p161「習性が形質を変えたと言わざるを得ない。徳川将軍の例を見ても明らかなように、咀嚼器官を退化させる突然変異が次々に生じ、それは当時の貴族階級の人たちの食性に有利であったため選択されて残り、それがため貴族特有の顔が生じた、などとはとても考えられないのである。突然変異も、自然選択も関係なく、同じ習性を持った人たちに同じような形質の変化が生じたに過ぎない、と考える方がはるかにに妥当であろう。習性が形質を変えたのであって、もし遺伝子も変わったとすれば、それは形質の変化に付ずいした現象と見なければならない。遺伝子優先ではなく、形質優先の立場をとらざるを得ないことを、人類の進化は示していると思われる。」

形質の変化ではなくて発達度合いの差だと思う。

 進化論に触れたい一般読者には勧められません。

 しかしどうして進化論というのは人によってこうも意見が違うんでしょうか。真実は1つで、今のところ確定している部分も多いだろうに、平気な顔して嘘を書く人が多い。不思議です。

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「進化論が変わる ダーウィンをゆるがす分子生物学」

速読

p62「分子時計は、木村がかつて望んだほどには一貫してもいず規則的でもなかったが、ダーウィン流の見方に立つかぎりたとえ不完全な分子時計といえども何の意味もなさない。」

 「たとえ」の意味が不明

p63「現在の地球では理由はともかく進化が停滞していると考えてみよう。」

 進化のスピードの議論だが、一番早い見積もりだとしてもとても観察できるようなスピードではないのではないかと思うから、おかしな仮定だと思う。

p146「天体の運動法則では、1つ1つの星が何でできているかは関係なく、地球や星が単位である。また、細胞は生体の基本要素ではあるが、脳細胞をいくら詳しく調べてみても、人間の認識や思考のメカニズムはおそらく解明できないだろう。つまり自然淘汰を説明する理論には、その現象に適した正しい単位が必要なのである。進化という現象についても、進化を説明出来る正しい単位を考えなくてはならない。」

悲しいことに、この本で唯一なるほど巧い説明だと思った箇所。105円だからよしとします。

 著者は今は進化論を研究している様だが、細菌学と物理学出身。この本も説明の重複が目立った。
 中原という人はどうやらダーウィニズムに批判的らしい。これ以上この著者の本を読む気はなので断定はできないけど。ダーウィンをゆるがす?ゆるがしてないと思うけど、どうして日本ではダーウィンに批判的な本が多いのだろう。書店にはその類のものが並んでいるよね。

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温暖化のスピード、生物追いつけぬ


「温暖化のスピード、生物追いつけぬ」千葉のシンポ閉幕

 生態系や気候の変動を話し合うため、千葉市内で開かれていたシンポジウム「地球温暖化と生物多様性」は2日目の9日、「温暖化のスピードは生物が変化に適応できないほど速い」などとする見解を示し、今月14日からの「気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚対話」(G20対話)の成果に期待するアピールを発表して閉幕した。

 この日は各国の専門家が気候変動による生態系への影響や対策を発表した。

 NGO「ネパールナショナルトラスト」のシダルタ・バジュラチャルヤ事務局長はヒマラヤの平均気温が過去20年で1~2度上昇していることを取り上げ、「高温域で生きられないカバの木が標高の高い地域に追いやられ、山岳部に生息するユキヒョウも生存を脅かされている」と説明。土で作った伝統的な住居が、従来は見られなかった豪雨で崩れてしまうため、トタン屋根が広がり始めているといった現状も明らかにした。

 「環境と開発に関するドイツNGOフォーラム」のユルゲン・マイヤー代表は、ドイツで急拡大する再生可能エネルギーについて報告。2007年までの2年間に、ドイツでは風力や太陽光発電に代表される関連産業の輸出額が2倍に拡大したことを強調したうえで、「気候変動は生物多様性への最大の脅威」として、7月の北海道洞爺湖サミットでの日本のリーダーシップに期待を寄せた。

 今回のシンポは千葉県と同県内のNGOなどが組織する「ちば生物多様性県民会議」などが主催、読売新聞社などが後援した。

(2008年3月9日23時02分 読売新聞)



 過去にも天変地異などによる環境の激変はあり、その際には大量絶滅そしてその後には新種の生物が現れただろう。でも問題はそのスピードで、「生物が変化に適応できない」って言うけどそれってどれくらいの時間なのだろう。まてよ、適応できるならかかる時間を考えられるけど、適応できないって言ってるのか。ただ絶滅していくってことか。まず問題になるのは食料の生産などか、次に疫病など。
 進化学からはどんな考察ができるか、基礎学習の後に考えてみる。

theme : 自然科学
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「利己的遺伝子とは何か」

利己的遺伝子とは何か―DNAはエゴイスト! (ブルーバックス)

p40「ラマルクが主張していた獲得形質の遺伝だけは、絶対に認めるわけにはいかなかった。」

『種の起原』には獲得形質の遺伝を認めるような記述がある。

p113「ハミルトンは、個体に血縁を助けるような行動を起こさせる遺伝子を含有する遺伝子は、個体群の中でだんだん増えてゆき、淘汰上も有利になるだろう、と主張しているのだ。」
p124「この遺伝子は、ただ単にキノコを栽培する行動を起こしているだけで、自分たちの目的がアリの遺伝子を増やすことにあると思っているわけではない。ただ、このようなキノコ栽培遺伝子を持った遺伝子が自然淘汰上有利に作用して、進化の途上でアリの個体群の中に広がったというにすぎない。」

ときちんと解説してある部分も多いのですが、以下に意味不明の箇所を挙げます。

p96「集団生活をすることになると、育児だけでなく他のことでも、個体同士の間で協力関係がはじまる。」

 「はじまる」の意味が不明確

p125「利己的遺伝子は、自分や血縁者だけを助けるほど近視眼的ではなく、キノコを育てるほどかしこいのである。いや、ダーウィン進化論的な表現をすれば、自然淘汰という厳しい環境が、遺伝子をここまでかしこくしたというべきなのかもしれない。」

「遺伝子が近視眼的」「遺伝子がかしこい」とはどういう意味か。遺伝子は思考も判断もしない。比喩なのでしょうか、比喩ならもっと上手にするべき。

p113「遺伝子は利己的だが、まわり道をして目的を達する程度には忍耐強くてかしこいものだといえるのだろう。」

「遺伝子は利己的である」の意味を著者は勘違いしていると取られてもしかたない。または、読者を誤解に導くまずい表現です。

p142「たとえば、ここに、利己的遺伝子と、利己的でも利他的でもないファジーな遺伝子(ハトに相当)からなる集団があったとしよう。」

著者は「利己的な遺伝子と利他的な遺伝子がある」と考えているのか。原著にはそうは書いてないし、読者の誤解を導く。

p189「こうしたハヌマンラグールの子殺しという意外な行動も、利己的な遺伝子の生き残り戦略としてなら納得できる。新たに群れを占領したニューリーダーのオスにしてみれば、種の保存などは二の次として、まずは自分の遺伝子を残そうとするのは当然のことである。」

リーダー交代時に子殺しをさせない遺伝子よりも子殺しをさせる遺伝子の方が、何らかの理由で遺伝子プール内で増加したということ。理由を説明した文章を読んだ記憶があるが、忘れてしまった。

p198「こうした托卵鳥の行動は、ドーキンスの言う利己的な遺伝子の存在を示唆しているように思われる。」

「利己的な遺伝子の存在の示唆」ってどういう意味ですか。この本は「利己的な遺伝子」を解説するものではないのか。そうであるならきちんと解説して欲しいし、批判する気ならきちんと批判すべし。どっちにしろ「示唆」はおかしいですね。

p200「自分自身の遺伝子だけがより多く残ればいいという、ドーキンス流の考え」

そんなこと言っていません。自分自身の遺伝子だけが生き残っても自分のコピーは次代以降増えません。例えば、肉食動物または、動物が徐々に進化し肉食化していく際に、するどい犬歯の遺伝子だけが生き残っても仕方ないわけです。一緒に肉食に適した消化器系や、獲物を捕らえる様々な能力のための遺伝子も「セット」で生き残らなければならないのです。そんなことは著者はもちろん分かっているでしょう。これも比喩なのでしょう、でももっとドーキンスのように巧くやって下さい。

p200竹内久美子『そんなバカな!』の引用「小児喘息について私が怪しいと思うのは、この病気がまず死には至らないもので、ある年齢に達するとケロリの治ってしまうということだ。もちろん、発作の時の苦しみは、今度こそ死ぬんじゃないかと思うほどに強烈だし、発作を恐れるあまり睡眠が浅くなり、だんだんと身体が衰弱していくのも事実だ。しかし、それでも決して死にはしないのである。利己的遺伝子は少なくともこの病気によって個体を死に至らしめようとは考えていない。その代わり、あの強烈な症状を周囲に向かってアピールしようとしているらしい。 親は病気で苦しむ我が子を不憫に思い、他の子よりも布団を1枚余計に掛けるようになるだろう。今夜は発作が起きはしないだろうかと、その子の健康状態に常に注意を払うようにもなるだろう。そうすると結局のところその子は、ゼンソクなど起こさず、外で元気に遊び、”あの子なら心配いらない”と親が気を抜いている子よりも案外有利に生き延びていくかもしれないのである。私が小児ゼンソクを脅迫や操作だと思うのはこういう理由からである。」


データ
喘息持ちの方はこの著者達を訴えましょう。アメリカなら勝てるんじゃないですか。

p231「竹内は著書『そんなバカな!』の中で、ドーキンスの考えを驚くほど上手に解説した。」

読んだことはないが、評判は悪いらしい。または高度なジョークという鋭い意見も。

p210「こうしたアオアズマヤドリの求愛行動にも、やはり利己的な遺伝子が関係しているようである。ライバルのあずまやを壊したり、飾りを盗んだりすることは、自分と関係のない遺伝子が増えるのを妨害しているように思われるからである。」

遺伝子が自ら意思を持って行動を起こさせているわけではない。一般の読者が勘違いするような表現はするべきでない。進化学者はいろいろな比喩を使って説明するが、使うなら上手に使って欲しい。

p244「ダーウィン進化論の誕生からすでに130年の歳月が流れたというのに、自然淘汰はただの1度も観察されていない。」

130年というのは進化を観察できうる長さなのか、勉強してみます。今までの勉強では、たったの130年では無理なのではと思います。


 人間に当てはめる場合には、注意が必要なはずで現に、

p163「人間のすべての行動が本能的なものであるとは考えられない。」
p165「人間が行っている農業や牧畜が、本能的な行動ではないことは明らかである。狩猟本能、生産本能はあるとしても、何も教わらない人間はおそらく農業や牧畜は行わないだろう。人間にとって、これらの行動は伝統や文化の所産であって、直接、遺伝子の命令でやっているのではないだろう。」
p234「『利己的な遺伝子』の中でドーキンスは、人間の脳が遺伝子に対して反逆できるほど十分に、遺伝子から分離し、独立した存在であると断った上で、」

と書いているのにもかかわらず、以下のようなおかしな記述が目立つ。

p118「夫婦はお互いに愛情を持ち、協力し合った方が子どもを育てる上に好都合である。だから、血縁度ゼロでも、愛情を持った方が、結局は自分の遺伝子を残す上で有利だから、愛情を持つのだと説明出来なくもない。血縁淘汰説で夫婦の愛情をどうしても説明しようとすると、こういうことになるが、少し抵抗を感じられる向きもあるかもしれない。」

「動物の行動には遺伝子の支配による本能的行動と、学習による行動又は大脳の支配による行動がある」と別の箇所に書いてあったのに、ここではそれに触れないのですか。愛情は本能のみによる行動なのでしょうか。

p212「さすがのドーキンスも、どうして人間の場合は、オスがメスを選ぶようになったかについては、まったく説明できないようで、現在の西洋人はどうなっているのだろうかと、悩むだけなのである。」

脳や文化の話で遺伝子・本能、進化の話ではないでしょう。

p235「ただひたすら増えようとする遺伝子と、少なくとも未来に対するビジョンをもつことのできる脳の争いが、ドーキンスのいうように、人間の脳の勝利に終わることを心から期待したいものである。」

入門者向けの本だからといって、原典を読み込まなかったり手を抜いたり、誤解を招く様な表現を使ったり、おかしな引用をしたりせずに、きちんと書いてくれる著者が増えることを心から期待したいものである。

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genre : 学問・文化・芸術

ほ乳類の脳生む遺伝情報


 何億年も前に脊椎(せきつい)動物のゲノム(全遺伝情報)の中に入り込んだ特殊な遺伝情報が、哺乳(ほにゅう)類特有の発達した脳を生み出すのに深く関係していることが東工大や理化学研究所などの共同研究でわかった。
レトロポゾン

 外から入り込んだ遺伝情報が、大きな進化を起こす引き金になった可能性を示す初めての証拠で、哺乳類誕生の謎を解明する手がかりとして注目されている。米科学アカデミー紀要に掲載された。

 研究チームは、進化の過程でゲノムに入り込み、その後は抜け落ちずに子孫に伝わる「レトロポゾン」という短い配列の遺伝情報を手がかりに、様々な動物のゲノムを調査。爬虫(はちゅう)類、鳥類、哺乳類に、特定のレトロポゾンが共通に存在し、哺乳類でのみ、脳組織の発達を促す役割を担っていることを突き止めた。

 このレトロポゾンが関係している脳組織は、ねずみのひげやもぐらの鼻先など哺乳類特有の感覚器官に反応する部分で、爬虫類や鳥類にはない構造をしている。レトロポゾンが入り込むことでゲノム上の領域が刺激され、脳組織の位置などを決める遺伝子が活性化されることがわかった。

 化石などから推定して、レトロポゾンは、約4億年前に脊椎動物のゲノムに入り込み、約2億年前に哺乳類の共通祖先の中で、高度な脳を発達させる機能を獲得したと見られている。

 同大大学院生命理工学研究科の岡田典弘教授は「遺伝子の研究では、突然変異の積み重ねなどの小進化に関係する成果は多いが、外から入る遺伝子で、体の構造に大きな変化をもたらすような大進化に関係する成果はなかった。進化の新しい研究手法になる」としている。

(2008年3月5日03時04分 読売新聞)


トランスポゾン

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genre : 学問・文化・芸術

「利己的な遺伝子」

利己的な遺伝子 (科学選書)利己的な遺伝子 (科学選書)
(1991/02)
リチャード・ドーキンス

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 争うのは種でも個体でもなく、遺伝子それ自体である。生存競争に打ち勝つのは、種でも個体でもなく遺伝子である。つまり、淘汰は遺伝子に対して働くものであり種や個体に働くのではない。ある遺伝子による形質や行動がその遺伝子の生存率を高めるのであればその遺伝子は生き残り、そうでなければその遺伝子は消える。例えば、「8の字のダンス」を踊らせる遺伝子は、ミツバチがダンスする事により生き延び生殖することができたから、コピーされ次代へ生き延びる。首を長くする遺伝子は、そうすることによってキリンが生き延び子を産むことによって、自らも増えることができるのだ。
 親と子は同じ生物ではないが、「8の字のダンス」を踊らせる遺伝子や、首を長くする遺伝子は同じ遺伝子が子へ伝わるのである。親と子は違うが、伝わった遺伝子は全くのコピーだ。遺伝子は不滅のコイルなのである。遺伝子は自分自身をコピーし、増殖するために生物を操る。それを利己的と言っているのです。そう考えると、今まで説明出来なかった現象も、見通しが良くなる場合があるのです。もっと極論すると、生物は遺伝子が自らをコピーし生き残っていくための生存機械=乗り物なのである。

 これがこの本の概略ですが、本の存在とタイトルだけを知っていたときには勘違いをしていた。遺伝子には利己的なものとそうでないものがあるのかと思っていた。ちまたに溢れている利己的遺伝子に対する誤解は私のものと同様だと思う。ほとんどの人が中身を読まずにタイトルから誤解しているのでしょう。中には読んだのに勘違いした人もいるかもしれないが、著者は再三再四注意を促しているので、よほどのことがなければ読み違えることはないはずです。
 『利己的遺伝子とは何か―DNAはエゴイスト!』はひどかった。ドーキンスが危惧したとおりの間違いを堂々と書いている。分かってわざとやっているのか、いやメリットないですよね。金儲けのために片手間で書いたのでしょうか。よく分かりません。
 また、読んではいないが竹内久美子という人の本はハチャメチャだそうです。または高度なジョークらしい。読んでないから何とも言えないし、読む暇もないけど「利己的遺伝子とは何か」で引用されていた竹内久美子の文章はたしかにハチャメチャでした。

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 ある塾講師が進化論に興味を持ち、面白さに魅せられアマチュアダーウィニストを目指す過程を書きます。時には覚え書き風に、時には生徒に教える様に、気の向くままに。
 まずは昔読んだ本の紹介。
ダーウィン以来―進化論への招待 (ハヤカワ文庫NF)
 この本には、以前にものすごく売れ、入試の国語の問題などにも良く出題された、ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)の元ネタ?になったのかもしれないサイズの生物学の章があり、面白かった記憶がある。要点は、『体重(大きさ)は体長の3乗に比例するが、表面積は2乗にしか比例しないことから、生物にはサイズによって様々な制約がある。』というもの。
パンダの親指〈上〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF)
パンダの親指〈下〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF)

そして最近、

キリンの首―ダーウィンはどこで間違ったかキリンの首―ダーウィンはどこで間違ったか
(1983/01)
フランシス・ヒッチング

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を読みました。 初めはアメリカのID論に興味があって手に取ったのですが、生徒に生物を教える必要もあり、ちょっといろいろ読んでみようかなと思い、その後何冊か買いあさりました。それはまたご紹介します。

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 進化生物学を学ぶアマチュアです。本業は数学教師です。ほとんど自己満足の日記と化してますが、コメントどんどん下さい。質問・議論・アドバイスも歓迎です。

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